第2章 工藤邸へ
沖「…咲さん、あまり強くはないんですね。」
完全に酔いが回って、なんだかひたすら良い気分になってきた頃。
沖矢さんが真っ赤になった私をじっと見つめた。
『っ、ふふ、そうなんですっ。でも好きですっ』
へらっと笑う私。
飲み過ぎても記憶がなくなるような事はないけど、確かに強くはない。
沖「なるほど…あまり男性と2人で飲むのはお勧めしませんね。」
『えー?どうしてですかー』
酒癖悪くはないと思ってるんだけど…
少しむくれたような顔をして見せるけど、なんだか本当に楽しい。
『もう、飲み…誘ってくれないんですか?』
それは嫌だな、と気になって沖矢さんの目を見つめると、溜め息を吐かれた。
沖「できれば、私とだけにしてください。」
沖矢さんがそう言って立ち上がり、水を持ってきてくれる。
『ありがとうございますっ』
その水を飲みながら、横に立つ沖矢さんにもたれかかった。
沖「…咲さん?」
『んんー…ちょっと、飲み過ぎました!』
相変わらずへらっと笑って水を飲み、その冷たい喉越しを楽しむ。
沖「…俺は聖人ではないんだがな…」
ボソッと言ったその声は私の耳には入らず、沖矢さんはそのまま私の酔いが少し覚めるまでそばに立っていてくれたのだった。