第4章 衝撃の6月
side 太宰
6月19日。今日は僕の17歳の誕生日。
だけど何も嬉しくない。
生きるのが苦痛なのに何で産まれた事に感謝して祝うのか。
全くもって意味が判らない。
と云うか理解したくない。
「お、治さん!」
「嗚呼、蓮ちゃん。…慌てて如何したの?」
「…プレゼント、全部送り返しで、よかったのですか?」
…この子は暖かさを知っている。
誕生日は祝うモノと思っているんだろうな。
「僕は死にたいの。知ってるよね?誕生日なんて1年生きてた事を祝うようなモノじゃないか!虫唾が走るね!」
僕は早く死にたい。こんな酸化した世界…
ふと蓮ちゃんを見てなかった事に気付き見ると、手には白い箱が。
「如何したの?ソレ」
「!!!いやっ、これはっ!!」
「届け物?見せてよ」
カタカタ震え出して一歩も動かない蓮ちゃん。
…これは、動けないの方が近いか。
さて、何を持ってるのかな?
近づくと蓮ちゃんの瞳は潤んで今にも其処から雫がポタリと落ちそうだった。
「…見て、いい?」
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「何を謝るの?君は普段からいい子だし、偶には我儘を云ってもいいくらいなんだ。多少僕が苛ついたって普段の行動からしたらプラスマイナスで結局プラスになるよ。…何か準備してくれたんでしょう?」
宥めるように優しい声色で話す。
未だ雫は溢れて無いが、時間の問題だろう。
「見るよ」
あっ、と云う声は無視して箱を机の上に置き、開けると、
「…ケーキ」
綺麗にデコレーションされたフルーツ多めのショートケーキが可愛らしく其処にあった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
気付くと蓮ちゃんは雫を零していた。