第3章 黒の時代
久しぶりの治さんの腕の中は幸せだった__
低めの体温。独特の匂い。綺麗な寝顔。
…好きだなぁ。
想うだけならと鍵をしたのに。
こんな5歳下の子供なんて相手になんかしてもらえる訳ないのに。
11歳と16歳。
私は妹としか見られてないのに。
いや、下手したらそれ以下かもしれない。
しかも相手は自分より魅力的な美人に心奪われたまま。
“振り向かせたい”
そう思ったけれどやっぱり無茶なんだ。
涙が出てきそうだったけど、治さんの胸の中だから我慢した。
心配かけたくない。
好き
その言葉は胸の中で溶けた。