第2章 心を解き放って
「だから言ったじゃないですか怪しいって!」
「うーん...今回は大丈夫かなって思ったんだけどね...」
「長船さんほんと優しすぎですよ、あ、すみませーん!ジンジャーハイボールお代わりください!」
「.....毎回思うけど、いい飲みっぷりだよね...」
結論から言おう、私は気づけば長船さんと飲み友達になっていた。あの合コンの後に先輩からスルーしちゃだめよ!と押しに押され渋々長船さんに連絡を取り今に至る。
とはいえ、先輩が期待しているような色っぽい関係にはならなかった。2回目の顔合わせは普通の居酒屋で酒を飲みながら話したのだが、初対面でのやり取りもありぶっちゃけ話に花が咲き意気投合。なんでも話し合える”友達”となったのである。ワンナイト?ないない!普通に飲み食いして喋って遅くなり過ぎない時間に解散する。
先輩にはだいぶ残念がられたが良く良く考えてみて欲しい...私のようないい加減女には長船さんは勿体なさすぎるのだ。そして多分彼も私に対して向けるものは恋愛ではなく、友情だ。(最も彼の方が2つほど年上であるから私は敬語のままだが)
トークの内容は大体お互いの仕事や人間関係の愚痴や恋愛に関するもので。まあ私からは恋愛の話は一切出ないから長船さんの話を聞くだけになるのだけど。
そんなこんなで今日は彼の話を聞いている訳だが...告白してきた子と仲を深めようとしたもののやはりうまく内面を見てもらえずに空中分解、といった所か。