第12章 もう一度、もう二度と
本当は幸せにしたかった
上手くいかずに離れていった人たちも
僕は、それでも、頑張っていたんだ
でももう、駄目なのかもしれない...心のどこかで諦めかけていたのかな
だからこそ、僕はこんなにも
「.........」
あれ
あれ?僕は...昨夜いつベッドに入ったんだっけ?
というか、むしろ
「...ここ、ソファだ...ね...」
待て待て、確か夜は彼女とご飯を食べたあとにお酒を飲みながら話していて...ええと
...ええと、どうしたんだったかな...なんだか物凄くふわふわして幸せな気持ちだったのはぼんやりと覚えているんだけど...。
「...ああ、やってしまった...」
なんと格好悪い
どうやら僕は深酒をしてソファで眠ってしまったみたいだ。お腹の辺りに控えめにかけられたひざ掛けは多分彼女の物だろう。いつもはお酒を飲んでいて眠くなったらすぐにベッドに入るようにしているのだけど...。というか、彼女が連れていってくれる...が正しいかな...本当に格好悪い...。
ふと良い香りがしてそちらに目をやると、彼女がキッチンに立っていた。珍しい、いつもは僕が...って今日こんな状況なら当然だ。
彼女は料理の腕に自信が無いと言う。僕からしたらただ慣れていないというか料理をする機会が少ない故の経験値の差だと思っている。素質は充分にあるから教えてあげるよ、て言ってはいるんだけどなあ。
そんな訳だから今まであまり手料理というものを作ってもらった事がない。僕が料理好きというのもあって(更に変に凝りすぎてしまうという部分は否定はしない。)私がしなくてもいいじゃないですか、と言われしまった。
僕はいつもこうだ
ただ僕がしてあげたくてしていても、最終的には相手の重荷になってしまう。「貴方といると女性として自信が無くなる」と去られたことすらある。一緒にキッチンに立ってもつい口を出してしまい喧嘩になったり...。
結局のところ、世話焼きをし過ぎてしまって相手の自尊心を傷付けてしまうんだろうと五条先輩にも分析された。従兄弟の貞ちゃんにも「みっちゃんは母ちゃんみたいだな!」て言われてしまったっけ...。
「あれ、光忠さん起きてる!」
ため息をつきながら項垂れていた所に僕が目覚めたことに気づいたのだろう、トコトコと傍に来てくれた。