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【とうらぶ】我が家の燭さにが現世で出会ったら

第11章 君の王子様になりたかった



「...ねえ...」
「はい?どうしました?」
「きみは...いま、しあわせ、かい?」
「...え...」
「...きみに...しあわせをたくさんもらっているけど...ぼくは...おなじように...きみを...」
「......」
「...だいじな...きみを...しあわせに...したくて...」
「ぼくは...きみの...」
「...んん...」

いつだったか
初めの頃、飲みの席で光忠さんが私にあまりに紳士的なもので慣れなくて...お姫様扱いしなくても大丈夫ですよなんて言ったことがあった。完全なるその場しのぎの照れ隠しでしか無かったが...

「......」

がっつり寝入ってしまった彼は起きる気配が無い。どうやらソファで眠ることは避けられないようだ。起こしてしまわないようにゆっくりと身を倒す。もちろん私に絡む腕はそのままだから2人一緒にだ。座ったまま体を横たえたから朝には体が痛くなっているだろうけど仕方ない。
時間をかけて光忠さんと向かい合う形になると私からもぎゅうと抱きつく。規則正しい呼吸音ととくとくと響く心臓の音を聞きながら目を閉じた。

「...大丈夫です、この上なく幸せですよ...王子さま...」

なんて恥ずかしいセリフだろう、だけれど何故だろう...言わなければと思ったのだ。彼は寝ているし聞こえるはずが無いのに。

顔を埋めた光忠さんのシャツが朝には乾いていますようにと願いながら、私はちょっとだけ泣いた。


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