第10章 君と歩む世界
*前作よりもちょっと前
皆様こんにちは、これまでの奮闘を見守ってくださりありがとうございます。晴れて長船さんと恋人同士になれました私です。
突然ですが、今窮地に立たされています。いやなんだ今日は2人ともお休みで、なんなら僕の家においでよと言って貰えたので私は今長船さんの家にお邪魔して彼のそれはもう美味しい手作りランチを頂いて満足感を隠しもせずフカフカのソファに沈んで食休みをしている所でした。
隣にはゼロ距離の長船さんです、私は人前でベタベタするのが苦手ですがまあ今は恋人の家ですしちょっと、いやかなり恥ずかしくて死にそうではありますが突き放す理由もないのでおずおずと寄りかからせて頂いてたんですよ。
どうやら彼はちょっと甘えん坊な所があるようで、たくさんいる兄弟の中でも下から数える方が早いという言わば末っ子?とまではいかなくともお兄さん達に可愛がられていたとの事で少なからずその影響はあるのでしょう。私は長女だしな!
指を絡めるようにして手を繋いで寄りかかる私に負けじとこちらにくっついてはたまに頬擦りをしてきます。それに私は「長船さんは甘えん坊ですねえ」なんて笑いながら空いた手で彼の髪を撫でたりして。普段は気を使っている髪型を崩されてしまうことに抵抗を感じているだろうにこんな時にはお構い無しです。
で、何が窮地かと言いますとまあこれは例のごとく自業自得なのですが
「どうして君は僕を名前で呼んでくれないんだい?」
「うっ」
「それにまだ、敬語だ」
「ううっ」
非常に痛い所を突かれました。キスやらそれ以上の行為なら順を追ってだとか色々あるでしょうが、名前で呼ぶだなんて付き合ってから直ぐにでもそう変わるものなのでしょう。過去お付き合いした人もそうでした、うん、確か、うん。