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【とうらぶ】我が家の燭さにが現世で出会ったら

第8章 そろそろ終わりに致しましょう



イルカはすごい
あのしなやかな体で泳ぎ、高く飛び、空中で回転したかと思えば飼育員のお兄さんとじゃれ合いながらその絆を見せてくれる。もう幾度となくこなされてきたであろうショーは大歓声と共に幕を下ろした。かく言う私も、イルカがジャンプした瞬間をしっかりとスマホカメラにて収めることが出来た事もあり大満足だった。

「イルカ君たちみんな凄かったね!」

イルカ“君“て!なんだほんとに!君は!
長船さんそういうとこある...ほんと、なんなの...かわいい...怒られそうだから言わないけど..。

「はい!でも私的にはちょっと抜けてるあのハナゴンドウがお気に入りです!」
「ああ、あの子可愛かったよねえ」

ハナゴンドウとは、クジラ目のイルカで一般的なイルカと呼ばれる子に比べて色が白く頭が丸く体つきもぽっちゃり系だ。そしてなんとも愛嬌のある動きをする。他の子が華麗にジャンプや技を決めていく中その子だけが違う動きをして会場を和ませていた。私はその子が大好きになってしまったのだ。

「なんだか君らしいね」
「そうですかね?」
「ああ、誰かと同じとか足並みを揃えて...というより自由な感じが好きだろう?」
「たしかに...」

もうここまで来ると長船さんが私の性格を当ててくる事にもあまり驚かなくなってきた...。ええ、もう全くその通りです...!でも気恥しい事には変わりない。照れ笑いもそのままにイルカショーのホールを後にすべく人の波に身を任せていた。そこそこ大きなホールだから収容人数も多い。

「おっと、」
「...っ」

長船さんが離れかけた私の右手をするりと握ってニコリと微笑む。私もなんとも言えない笑顔(...になっているのかはアレだが...)で返す。そうなのだ、事もあろうに私は長船さんと手を繋いで水族館を回るハメになってしまったのだ。まあ、その、これもなんというか自業自得と言うのか...。
私はこういう施設が大好きなのだ。水族館、美術館、博物館にテーマパーク系と...。その膨大な情報に頭がついて行かない事もあるが、むしろそこに身を委ねるのが本当に好きで、友達や家族などと行ってものめり込み自分のペースでどんどん進んでしまい一緒にいる人を置いて行ってしまうこともあった。まさに今回もそれで。

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