第3章 たとえ隣にいるのが私でなかったとしても
長船さんと飲み友になってどの位経っただろう。良く覚えていないけれど、相変わらずこの関係は続いている。会うのは大体夜の居酒屋。
飲むのは別に毎週でもなく、会わない時は会わないし続く時は続く。その間も程よくメッセージのやり取りはしていて、なんていうの?良い意味であまり気を使わなくていいと言うか…そんな友達いません?同性でも然り。
お互いになんとなく話を聞いて欲しい時に前触れもなく声をかける。予定が合わなければ代替案を出して調整して。その時に交わす情報以外は何も知り得てはいないがそれで良かった。
「なんだか、最近雰囲気が変わったわね」
「え、そうですかね?」
「上手く言えないけど、柔らかくなった!」
「ええー??マジですか??確かにちょっと太りましたけど」
「もう!そうじゃなくてね!」
「...っ、ふはっ」
今日は休日。休みが合った先輩と街に出ていた。今月末に寿退社する同僚の為にサプライズ的なプレゼントを渡すべく調達に来たのだ。お昼頃に合流してまずはランチと洒落こんだ所で先輩のお決まりの質問が出てくる。
「なんだかんだ長船さんのおかげなんじゃない?最近はどうなの?」
「またまた~...先輩も飽きないですね」
「だって気になるもの!」
「相変わらずですよ、居酒屋で愚痴言い合って帰ります」
「ええー!?」
最初は興味本位?茶化し?も入っていたみたいだが今では完全に私の事を気にかけてくれているようだった。もちろん先輩は私が自ら選んで宙ぶらりんでいる事も恋愛に関して引き気味なのも知っている。
有難い事に色々良くしてくれているし本当に良い人だから長船さんにどうだろうと思ったがそうだった、先輩は例の合コンで知り合った人と順調に縁を結んでいるんだったと気づいてやめた。ままならないものである。