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【とうらぶ】我が家の燭さにが現世で出会ったら

第1章 さよならの後には




居づらい。
目の前で繰り広げられるのは、高い参加費に見合った豪華かつ普段なかなかお目にかかれないような食材で彩られたオードブルの数々...には目もくれず、初対面の男女数名が己の欲やらなにやらに触発され必死に駆け引きをする様。異様なテンションの中酒の消費量だけが著しい。しかもその酒もなかなかによい名柄で、なんちゃらとかいうスパークリングワインはまるで水のように消えてゆく。

猛烈に居づらい。

そもそもなんでこんな所にと言われれば完全にお人好しな自分が悪いので何も言えない。
所謂「合コン」という場にいる私は完全に数合わせという名目。主催していた先輩は私がこういった集まりに微塵も興味を持っていないという事は知っていたが、直前になり女性の参加者に欠員が出てしまいキャンセルも延期もままならない状態だったようだ。キャンセルはともかく延期はね...社会人ともなると仕事後に一定の人数が集まる時間を取るのも一苦労だからね...。

そんなわけで、主催がどうでもいい人間ならまだしも先輩(しかもそこそこ仲が良い)となると目の前で困り果てた姿を放っては置けないと、休日前の仕事上がりに高級レストランへと出向く事になったわけだ。
まあ当然と言うべきか、挨拶もそこそこに飲み食いに全力を注ぎたまに話しかけられたら話すという有様に男性の皆様は早々に私をターゲットから外してくださった、いいぞ。
しかし会が中盤に差し掛かる頃には周りはカップルが出来始め、お目当てに相手が出来てしまったであろうメンツが必死にアピールを始め出した辺りでドロドロとした雰囲気になってきてしまった。ここで冒頭へと戻る。
これはさすがにたまらない。誰かと会話していた訳でもないしそそくさと御手洗へと避難するかと席を立った。

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