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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第9章 ミステリートレイン 【灰原/安室】


「ミステリートレイン?」
ここ工藤邸の主の妻、有希子の手によって“赤井秀一”が“沖矢昴”になっていく様を見ながら、十華は話題の件に首を傾げた。
「えぇ、やつらが仕掛けてくるならここだろうって、昴くんとコナンくんが」
昴は盗聴ないしハッキングないししていたのだろう。それをコナンと話して推理したと見える。有希子にスマホの画面を見せられて、内容に目を通す。
「なるほど…汽車という密室空間でのミステリーツアーですか。確かにここなら入り込みやすいし、どさくさにまぎれて、ということも可能ですね。でもこれ、完全予約制では?」
「ふふ~ん、それはご心配なく!私、顔が広いのよね~」
「鴉羽郁大くんを知っているだろう?」
「えぇ、新一くんの親友で、“あの子”のそばによくいる…」
「彼が鈴木財閥に顔がきくらしくてな…」
「とってもらったと」
「そうなの!十華ちゃんも、私達と同じ部屋で大丈夫よね?」
「えぇ…え?私、達?」
有希子の言葉に目をぱちくりさせて彼女を見る。有希子はにこにこ笑顔を絶やさないまま、自分と昴を示した。
「えぇ、私、達」
「ま、待ってください!有希子さんも行くおつもりですか!?」
「もちろんよ!」
「危険すぎます!何を仕掛けられるかわからないというのに…!」
黒の組織が現れるであろう場所に、一般人の彼女をわざわざ連れて行くわけには、ましてや巻き込むわけにはいかない。
「大丈夫よ。コナンくんと昴くんの読みだと、それほど大がかりなことはしてこないだろうってことだし」
「ですが」
「それに、私は行かなくちゃいけないの」
「え?」
有希子の急な声色の変化に、十華の勢いが止まる。
「会わなくちゃいけないのよ…シャロンに」
「……」
シャロン・ヴィンヤード、またの名を、ベルモット。彼女と有希子は女優友達で、変装術を同じ師から学んだ間柄でもあるという。有希子からしたら、友人が秘密組織にいる悪党だったなんて、信じがたい事実なのだろう。
「…わかりました。でも、無茶はしないでくださいね」
「えぇ、大丈夫よ」
にこりと可愛く笑った彼女は、とても高校生の息子がいるようには見えない。
「そういうわけだから、よろしくね、十華ちゃん」
「はい」
数日後、作戦決行。







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