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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第7章 安室透 【安室】


そして軽く一礼してカウンター内へ下がっていく。特に変哲のない普通の青年だ。強いて言えば、顔が整っている、いわゆるイケメンというやつなくらいであろう。その彼の動きを、不自然でない程度に観察する。手慣れた様でコーヒーを淹れるその姿も絵になっていて、無意識に「ふぅん」とこぼしていた。しばらくして青年が「お待たせしました」とコーヒーをテーブルに置き、伝票を立てる。「ごゆっくりどうぞ」と一礼して離れていく青年の背中を見た後、十華はカップを顔に近づけた。
(いい香り…ものを変えたわけじゃなさそうだけど…)
前に飲んだ時と明らかに香りが違っている。コーヒーを口にすると、十華の目がぱちっと開かれた。
「…美味しい」
決して、梓が淹れたコーヒーが不味いというわけではない。梓が淹れたものよりも数段美味しいという事だ。思わず笑みがこぼれ、青年をちらと見る。彼は他の客の注文をとっているところだった。
(探偵で、頭がキレて、接客にも慣れていて、こんなに美味しいコーヒーが淹れられる…)
初めはただ様子見で怪しんでいるだけだったが、別の意味で、ますます彼に興味がわいた十華であった。










一人で入店した若い女性。彼女は「お好みの席へどうぞ」と言われると、カウンターの正面席に座った。注文をとってコーヒーを用意していると、視線を感じる。女性客が時々自分に向けるものとは少し違う、どちらかというと〝観察〟されているような感覚。ただの客ではないと、安室透が判断できるのには充分だった。








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