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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第7章 安室透 【安室】


「毛利探偵に弟子?」
工藤邸にて沖矢昴、コナンとお茶、もとい情報交換を行っていた十華は、コナンの「おじさんに弟子入りした物好きな人がいる」という話題に小首を傾げた。
「うん。安室透さんっていうんだよ。すぐに事務所にいけるようにって、下のポアロでバイトまで始めちゃって」
「ふぅん…」
「どうかしましたか?」
少し意味ありげな色で声を漏らした十華の顔を昴が軽く覗き込む。そんな昴に十華はジト目を向けた。
「…このメンツの時くらい〝普通〟にしてよ」
「いえいえ、突然何があるかわかりませんから」
「…」
正体がわかっているから、正直違和感があり過ぎて、気持ちが悪い。十華の思いとしてはそうなのだが、昴はにこにこと笑うだけだった。
「とにかく、なんか、違和感というか、裏がありそうな感じがしない?その安室透って人」
「ボクはとくに思わなかったけど…おじさんより頭がキレそうなのに、なんで弟子入りしたのかなってくらいかな」
「頭がキレる、か」
「…十華?」
彼女の思案する表情に〝沖矢昴〟の声が〝赤井秀一〟のトーンになる。十華は数秒考えた後、よし、と声を上げた。
「ポアロでバイトしてるって言ったわよね。今度行ってみるわ」
「何か気になることでも?」
「なんか…引っかかって」
「…」
昴がじっと十華を見る。そんな彼に肩をすくめてみせて、彼女はコーヒーを口にした。








数日後、ポアロ。普段はあまり来ないのだが、先日の件のためにそのドアを開けた。カランと音を立ててドアが開き、店員が振り返る。
「いらっしゃいませ!」
店内にいたのは、ポアロの看板娘である梓と、見覚えの無い青年。彼が安室透だな、と十華は瞬時に判断した。初見は、とくに変な感じはしなかった。
「お好きな席へどうぞ」
「どうも」
十華はきょろと店内を見て、カウンターの奥がよく見える席に座った。少しして青年が水を持って来て、「ご注文は?」と問いかけた。
「コーヒーをホットで」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
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