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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第6章 予期せぬ再会 【安室】


名前を呼ばれて十華は目を瞬かせた。この日本で自分のファーストネームを呼ぶ者は限られている。ましてや〝さん〟と敬称を呼ぶ者は、いただろうか。十華は声の主を割り出そうとして見渡し、そして目を見開いた。
「真純!?」
「やっぱり十華さんだ!久しぶりだなぁ!」
「な、なんであんたが日本に?」
「そういう話は後だよ!今はこっちに集中しないと」
「そ、そう、ね…」
突然の事に動揺した十華だったが、真純に言われて平静を戻す。そして改めて、キャメルや目暮警部から状況説明をきいた。身元がわかる物の所持は無し、携帯電話は水没して使えない。そしてキャメルがきいた声。〝いくら幼馴染って言ってもそんな頼みはきけないよ…阿部さんに毒を盛って殺したのは自分だ…だったら自分は責任を取るしかない〟と。この後うめき声がきこえて、慌てて出てみるとすでに男は死んでいたらしい。だからその男は阿部という人物を殺して、その罪の意識から自殺したのではないかとの推測だ。また、「阿部ちゃん」と呼んでいたから、その阿部という人とこの男は親しかったのかもしれないとキャメルは話した。
「…阿部ちゃん?」
「えぇ、阿部ちゃんと」
「それって、訛ってたんじゃない?」
「え?訛り、ですか?」
キャメルが首を傾げた。海外生まれで海外育ちのキャメルには日本の訛りはわからないのだろう。だが、そういえばとこぼしたあと、色黒の少年、服部平治を示して「丁度この少年のような喋り方でした」と言った。
ほんなら関西弁やったっちゅうんか!?」
「カンサイベンっていうのかは知らないが…語尾に〝や〟とか〝で〟とかついてたよ…」
「だったらその〝阿部ちゃん毒殺事件〟…関西の方で起きた事件かもしれないな…」
真純の言葉をきいて目暮警部が指示をダシ、高木刑事が走った。東京では〝阿部〟という人が毒殺された事件は見つからなかったらしいが、関西の方にはあるのかもしれない。
「…で?真純はなんで、」
十華の言葉はそこで止まった。真純とキャメルが、何やら異様な空気を醸し出していたからだ。すぐにそれはおさまったが、キャメルは真純を見て〝何か〟を感じ取ったのかもしれない。真純を見れば、彼女はにこっと笑ってみせただけだった。
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