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【ヒロアカ】雪恋【轟焦凍】

第12章 原作編《デクvsかっちゃん》


紫沫SIDE


仮免試験を終え、明日に新学期を控えた夜。
夏休み期間や仮免試験の話でひとしきり盛り上がると、寮の共有スペースからあっという間に人の姿はいなくなり。
かくいう私も早めに切り上げ部屋に戻ったけど、バスの中で寝たせいか眠気が中々きてくれなくて、前日と同じくホットミルクを求めて一階へとむかった。
エレベーターが一階に着いたと同時に扉の閉まる音が聞こえて、こんな時間に誰だろうと覗き込んでみるけどそこに人の姿はなく。
気のせいだったかなと思いつつ確認の為に少しだけ隙間を開けて覗けば、寮の外に二人分の後ろ姿を見つけた。

「あれは…緑谷君と爆豪君?」

あの二人が共に何処かへと足を向けていることに違和感を覚える。
確か幼馴染だと聞いたけど行動を共にしているところは殆ど見たことないし、何より普段の接し方を見る限り仲が良いとは言い難い。
そして一番気になったのはこんな夜更けに寮を抜け出しているということ。

「……どこに行くつもりなんだろ」

この時間外に出ることは禁じられているのに見えた後ろ姿は寮から遠ざかっていて、本来なら注意すべき場面。
けど無言で足を進めるその雰囲気に声を掛け辛く、見慣れない組み合わせが妙に気になって私はこっそりとその後を追いかけていた。
そして辿り着いたのは、演習授業で使われているグラウンド・β。
一体こんな所に何の用があるのかと私の足も二人に次いでグラウンドの中へと入っていた。
少し歩いた先で立ち止まった二人を見て、近くの物陰に隠れ。
建物だらけのこの場所は身を隠し易く、バレない範囲限界まで近づくと話し声が聞こえた。

「ずっと気色悪かったんだよ…無個性で出来損ないのハズのてめェが、どういうわけだか雄英合格して、どういうわけだか個性発現してよォ」
(緑谷君が無個性…?)
「わけのわかんねぇ奴がわけのわかんねぇ事吐き捨てて、自分一人納得した面してどんどんどんどん登って来やがる」
(どういう事…?)
「ヘドロん時から…いや…オールマイトが街にやって来たあの時から…どんどん、どんどん…しまいにゃ仮免てめェは受かって俺は落ちた。だこりゃあ?なあ?」
「それは実力ってよりも…」
「黙って聞いてろクソカスが!!」
「ごめん…!!」
「ずっと、気色悪くてムカツイてたぜ」

話の序盤で引っ掛かりを覚えた私は静かにその先の話に耳を傾けた。

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