第13章 Ti desidero.【ジョルノ】
すっかり肩で息をしているチヒロの耳元で、ジョルノは問いかける。
「ねえ、チヒロ……さっきから、"やめて"とか"だめ"だとか言ってますが………本気で抵抗しないのは、どうしてですか?」
耳の中に直接流れ込んでくる声と吐息に、彼女はまた身を震わせる。
「今も、これまでも……本当に嫌なら、やめて欲しいなら…僕を張り倒すなり、スタンドで応戦するなり、できた筈ですよね?」
言いながら、彼女を拘束している腕を緩めて目と目を合わせる。その表情は、もうすっかり蕩けきっていた。
ぞく、とジョルノの背にも興奮が走る。
彼は努めてそれを態度に出さないまま、続けた。
「チヒロ。貴女はもう"分かっている"。分かっていて"気づかないフリ"をしている……そうでしょう?」
もう抵抗しない彼女の頬にするりと手を添える。掌に感じる熱さが、快楽に上がった体温をまざまざと感じさせた。
「素直になって。僕を、受け入れてください」
ジョルノの鮮やかな瞳が真っ直ぐに彼女を射抜く。全てを見透かす彼を、もう拒めない。
ああ、もう、誤魔化せない───
チヒロは黙ったまま…そっと目を閉じた。
ジョルノは満足げに笑みを浮かべ、今度はごく優しく、壊れ物に触れるように彼女に近づく。あとほんの少しで2人の唇が重なる、その刹那。