蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第131章 夢でしか逢えない 2
春
オイラ 大野智
ちゃい時から、親父の後継いで歯科医になるって決めてたけどさ
50代半ばで、早々にオイラに仕事を任せる! とかさ
「智がメインで働いて、和也くんと二人、頑張ってくれたまえ!」
「仕事も…… まぁ、時にしたり? 自分と母ちゃんは二人して趣味に生きるから!」
って…… 自由過ぎね? (笑)
オマケに、従弟のカズがさ
(父ちゃんの妹の子供ね?)
和也「夢クリニックで使ってよ」
ってさ。全く、子供の時から人懐っこくて
和也「コキ使えていいじゃん?」
……とか、言うけどさ
そんなん、出来る訳ないじゃん?
分かってて言ってるとこが、また可愛いげが無いと言うか(笑)
さて、某 全校生徒合同歯科検診にお邪魔を……
昨今、少子化とは言え……
我が〈夢クリニック〉は1年生150人を
他のクリニックさん、2年生と3年生を担当しているとは言え……
結構な人数だなって……
研修でも、夢クリニックでもここまで大きな仕事…… って言っても
今日は父ちゃんの仕事手順や、その助手の歯科衛生士さんの動きを見るのが主だったんだけど、途中からオイラとカズが、担当する事になって
これから毎日、このくらいの人数の御客様に、一人一人に合った内容の治療を、提供したりして行くんだな
って
オイラ、気が引き締まる思いがしたんだ
最後のクラスの検診中、オイラ、不謹慎なんだけどさ
どうしても一人目が離せない
一人の少年がいてさ
小柄で色が白くて、ハッキリ言って、学ランの詰襟にまだ着られてるっ
て言う感じがさ……(笑)
可愛いなって
櫻井翔…… くんか
智「ハイ、ちょっと器具が冷たいかもしれないけどゴメンなさいね?」
オイラの声掛けに、うんうんて、ちっちゃく頷いている
櫻井くん
(残念……)
じゃなくて……
思わず、心の中でそう思っちゃった
虫歯一つない綺麗な口腔内……
クリニックでの再会は望め無いな……
なんて、変なこと考えちゃってたんだ
オイラ……