蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第130章 夢でしか逢えない 1
春
俺 二宮和也
歯科衛生士なる為、3年間学校に行って、この春から
3歳上の母方の従兄の智くんがさ
やはり、この春から、歯科医になったんだろけど、伯父さんのクリニックを継いだの
でさ……
和也「使ってよ!」
そう言ったらですね
伯父「カズくんなら良いよ~!」
ってアッサリと
就職口を中々見つけられない時代に、お陰様で
智「カズは、ホント可愛げがないな(笑)」
和也「いいじゃん! 気心が知れてるから、俺の事、気兼ね無くコキ使えて!」
いつもの様に軽口を…… まぁね、智くんは、優しいからさ、コキ使う何て事しないんだろうなって
さて、某 全校生徒合同歯科検診にお邪魔を……
昨今、少子化とは言え……
我が〈夢クリニック〉は1年生150人を
他のクリニックさん、2年生と3年生を担当しているとは言え……
結構な人数だなって……
研修でも、夢クリニックでもここまで大きな仕事…… って言っても
今日は伯父さんの仕事手順や、その助手の歯科衛生士さんの動きを見るのが主だったんだけど、途中から俺と智くんが、担当することになって
これから毎日、このくらいの人数の御客様に、一人一人に合った内容の治療を、提供したりして行くんだな
って
俺、気が引き締まる思いがしたんだ
最後のクラスの検診中、俺、不謹慎なんだけどさ
どうしても一人目が離せない
一人の少年がいてさ
小柄で色が白くて、ハッキリ言って、学ランの詰襟にまだ着られてるっ
て言う感じがさ……(笑)
可愛いなって
櫻井翔…… くんか
智「ハイ、ちょっと器具が冷たいかもしれないけどゴメンなさいね?」
智くんの声掛けに、うんうんて、ちっちゃく頷いている
櫻井くん
(残念……)
じゃなくて……
思わず、心の中でそう思っちゃった
虫歯一つない綺麗な口腔内……
クリニックでの再会は望め無いな……
なんて、変なこと考えちゃってたんだ
俺……