蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第94章 花(華)の屋敷 12
私は、花町という特殊な…… この家が代々生業として来た……
この家に生まれてきた事を、心苦しく思って来た
さわ『耕太さん? 大丈夫? 貴方はそんなに悩む事ないんですよ。私もみなも親が貧しかったり、借金をこさえたりで……(笑)けど、お金持ちの旦那が気まぐれ起こして、娘達と遊ぶよりもそのおカネで、娘達を自分の屋敷の女中にしてくれる。とか、女中を欲しがっている家に紹介してくれて、娘達はその家で働く。とか。果ては旦那が、躰ではなく娘達の情を欲しい。って思って身請けしてくれる。妻にしてくれる…… なんて事を、花屋敷と旦那達が協力して…… すみませんこんな酔狂な事。忘れて下さい。耕太さん? 今日のお客様は太郎さんでしたよね?』
耕太『あ、あぁ頼んだよ。さわ』
さわの本音、私は酔狂とは思わなかったのだ
さわの言うとおり、様々な事情で、お金のいる娘達に、財で己の欲望を満たす為だけに、娘達の春を買う男達……
全く違う形で、娘達が借金を返す方法……
さわの言葉で、私は本気でその事を考え始めたのだった
さわを、救いたい
娘達を救いたい
美しい、さわ。お金持ちの旦那に愛されて欲しい……
私の想いは…… 心に仕舞おう……
当然、私の言葉に理解を示す御仁は……
現れるハズも無く、父親にも祖父にも怒られる毎日
そりゃそうだろう。客として来られた方々に
耕太『娘達を貰い請けてくれ。女中にはどうか? はたまた、女中として欲しい? という家を紹介してくれないか?』
怒る客、二度と来られなくなった方
家の生業とは、真逆の生業をしようってんだから
八方塞がり
いよいよ勘当されそうだ……