蝶よ花よ〈甘い蜜に誘われて〉(気象系.信号トリオ.BL )
第89章 花(華)の屋敷 7
ショウ様…… ご無事で……
もとは、迷い込み、困り果てていた筈が、ショウ様の一大事に触れ、気持ちがグワッと高ぶったった瞬間
何の迷いも無く
カズ「ショウ様!」
辿り着き襖を、開け飛び込んで来た光景に……
ショウ様…… 殴られたのかっ?
美しい、白い…… 左頬は腫れ、紅い唇からは血が……
サトシ「ショウ! ショウ!」
怒りに、我の、感情の高ぶりを抑える事が出来ぬ程
カズ「貴様ぁ、トビカゲ! ……」
そして怒りと共に湧き上がってきた感情
サトシ殿は
サトシ「ショウ! ショウ! すまなんだ…… しっかりしておくれショウ……」
サトシ殿は、ショウ様を掻き抱き、その美しい白き頬に、己の頬を当てて
ショウ様とサトシ殿の、信頼関係があったればこそ許される行為
私は、一方的にお姿を拝しただけの男
このやり場のない想いを…… 吐き出さねば
やりきれない!
怒りの元の、トビカゲに視線を移すと、『花屋敷』の用心棒であろうか? 屈強な男達二人に両脇を抱え込むように捕らえられている
カズ「トビカゲ…… 恥を知れ! 私はソナタに、助けてて貰わなくとも、自分の才で、足で情報を集め、イッパシの物書きとして大成してみせる! 恥知らずにもっ、接待という名目で己の欲望満たす為だけに、花町の者を傷つけたり、才覚ある若き作家達を潰す事だけに執念を燃やしている様な…… くだらぬお前に…… ショウ様をっ、許さねぇからな!」
私が、トビカゲに殴り掛かろうと身構えた瞬間
伊織「カズ様! 今ご自分で仰ったではありませんか! 今、この愚劣な男に手を上げれば、その瞬間に、貴方様も愚劣者に成り下がります! お気持ちは分かります! しかし、落ち着いて下さい!」
カズ「伊織……」
私を慕ってくれていて、話のタネ等、資料を集めたりと手伝ってくれる伊織……
ありがとう……