第2章 ✼藤✼
§ 謙信Side §
「結、何があったか話せ」
このまま放っておくことは出来ない。
ただならぬ雰囲気の結にそう話しかけると、結はゆっくり顔を上げた。
今にも零れてしまいそうな程目に涙を溜める結。
「ごめんなさい。今は、言えません。でも次会う時に必ずお話します。だからお願い…」
(今は絶対に話さないという顔だな…)
こうなった時の結の頑固さは俺が一番知っている。
「必ず話すと約束するか?」
「はい、約束します」
何故この時無理やりにでも聞かなかったのか。
後で話すからと思ってしまったのか…
俺は後悔した。
襖を後ろ手で閉めて結に口づけをすると、堪えていた涙が一筋零れ落ちる。
「ん…っ……はぁ…」
崩れ落ちそうな体を抱き寄せて舌を絡めると、結も遠慮がちに舌を絡めてきた。
ちゅっ、と音を立てて唇が離れると、そこにあったのは潤んだ瞳で頬を上気させる結の顔。
「……っ」
普段は見せない艶めかしい顔に、俺の理性が音を立てて崩れていく音がする。
「……優しくはしてやれんぞ」
結を褥に押し倒すと、愛しい結はやっと優しい笑顔を見せた。
「はい…謙信様が、欲しいです」
その言葉を合図にするように再び唇を重ねると、結の熱が俺にも移ってきた。
結の不安を溶かすように
全てを包み込むように
舌を割り込ませると、結の体から力が抜けていくのが分かる。
帯を解いて胸元をはだけさせると、きめ細やかな白い肌が俺の前に晒される。
撫でるように肌に触れると、結は甘い声を上げた。