第2章 ✼藤✼
§ 結Side §
「何言ってんだよ……ユイが居るべき所は此処じゃないんだよ!」
あの時言われた言葉が頭から離れない。
本当はずっと分かってたよ……
ここに留まるって事は現代の皆とさよならするって事で…人によっては皆を捨てると思われても仕方ない。怒られても仕方ないって分かってた。
ずっと目を背け続けて来たんだ…
今まで誰も私を責めない事を言い訳に考えないようにしてた。
「帰ろう、俺と。その方が幸せになれる」
それは、違う。
私は謙信様と一緒に居たい。
現実を突き付けられた今だってそう思ってる。
だからこれは私の問題。
明後日私が叶多と話をする時に覚悟をちゃんと決めて自分の気持ちを伝えればいいだけ
謙信様に無駄な心配を掛けたくない…
叶多が帰るまではいつも通りの私でいよう。そう思っていたのに…謙信様を見たらやっぱり我慢できなかったみたい。
(やめて。いつも通りの私で居て)
そう言っても体は聞かず、勝手に謙信様に抱きついていた。
「どうした?」
————謙信様……
その声を
優しい手を
温もりを
失うのが怖い…
だから
「私を抱いてください、謙信様っ……」
謙信様はここにいるって感じたかった。
自分の悩みをこんな形で謙信様に晴らしてもらおうなんて最低だ。分かっていた。
でももう自分の中にある感情は、自分でも抑えられなくなってしまっていた。