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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第14章 ✼黒種草✼





「あ、待って……!」


走っていく男の子の腕を掴んだ。
……はずだったのだけど。


「結……?」


掴んでいたのは男の子の細い腕なんかじゃなくて。
私よりも逞しい男の人の腕。


「あ、謙信様……?」


「結、どうした。悪い夢でも見たか?」


体を抱き寄せる謙信様の背中に腕を回しながら、考えてみるけど……


「思い出せません……でも、悪い夢じゃなかった気がします。逆にいい夢だったような」


「そうか。ならいい」


夢って、そんなものだ。
起きたら忘れてしまう。
覚えていても、もう一度見たいと思って二度寝をしてみても見れなかったり。


────花の匂い


どこからともなくする花の匂い。
それは、覚えていた。


「謙信様、今日はお忙しいですか?」


「いや、今日は何も無いが……どこか行きたいところがあるのか?」


「はい」


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