第7章 少年と虎
チュンチュン
あるアパートの一室でユウリは本を読んでいた。
パタン
「んー!はぁ」
本を閉じて伸びをした後机に突っ伏した。
「はぁ、暇だ。洗濯物も片付けたでしょ、足りなかった日用品も買ったでしょ、掃除もしたし、読み終わってなかった本も読んだ。しかも、治も居ない、ゲーム機も修理に出して戻ってきてない。どうしよっかな~。」
窓の外を少し見た後
「散歩でもしよう」
立ち上がりコート掛けにかけてあった外套を着て玄関を出た。
のんびりと歩いていると前から見覚えのある人達を見つけた。
「治と国木田君!」
「やぁユウリ、今朝ぶりだね。」
ユウリは二人の後ろにいる少年に気が付いた。
「彼は?」
「彼は私の入水で迷惑をかけてしまったからお詫びに茶漬けを奢ることになったんだ、国木田君が。」
国木田は太宰の胸ぐらを掴みながら怒った。
「それは貴様が勝手に決めたことだろうが!」
ユウリは二人を無視して少年に質問した。
「君、名前は?」
「中島 敦…です」
「敦君か、私は彼等の同僚の夏目 ユウリだ。よろしく」
「あっ、はい!」
ユウリは二人に振り向き
「いつまでじゃれあってるの?敦君に茶漬けをご馳走するんでしょ。早く行こうよ」
「じゃれあっているわけではない!!」
4人は飲食店へ向かった。
~飲食店~
ガツガツ
「よく食べるね」
敦の食べっぷりに驚いているユウリの横で国木田は治と話していた。
「おい、太宰 。早く仕事に戻るぞ」
「仕事中に突然「良い川だね」とか云いながら川に飛び込む奴がいるか。おかげで見ろ、予定が大幅に遅れてしまった。」
国木田は睨みながら言った。
「国木田君は予定表が好きだねえ」
バン!!
「これは予定表では無い!!理想だ!!我が人生の道標だ。そしてこれには「仕事の相方が自殺マニア」とは書いてない!」
理想と書かれたノートを指しながら言った。
「ぬんむいえおむんぐむぐ?」
「五月蝿い。出費計画の頁にも「俺の金で小僧が茶漬けをしこたま食う」とは書いてない。」
「んぐむぬ?」
「だから仕事だ!俺と太宰は軍警察の依頼で猛獣退治を-」
「「君達、何で会話できてるの?」」
ユウリと太宰は不思議そうに言った。