第11章 猫とバタートースト
――ガラガラッ
「では、例の件また何か動きがあったらご報告します。とりあえず今夜宜しくお願い……あれ?緑谷くんそれに他の子達まで、皆でどうしたんだい?」
「つ、塚内さん!?」
7:3に分けられた黒髪に定評のある薄い顔立ち。
オールマイトの旧知の仲である警部の塚内直正は朗らかな顔で緑谷達を一望した。
ドア横に立つ警察らしい警官とは違い地味めのスーツに身を包んでいる。
「……何だお前たち揃いも揃って」
「やぁ、皆元気かい!?」
声を聞いてか、塚内の後ろからぶっきらぼうな表情の相澤と、その肩からひょっこりと根津が顔を覗かせた。
「あ、あの相澤先生が逮捕されるかもって話を聞いて……」
事の発端となった芦戸が、普段とうってかわって弱々しく手を挙げた。
――遡ること数分前。
(うー、トイレトイレ〜)
『ねぇ、さっき警察の人見たけど何かあったのかな?』
(……警察?)
『あーそうそう。私見てたんだけど、ヒーロー科の相澤先生いるじゃん。
なんか警察数人に囲まれて連れてかれてたんだよね』
(えっ!?)
『なんだろう。また何か事件かな』
『でもさ、ここだけの話1-Aってずっと事件に巻き込まれてるし先生達も会見までしたじゃん。
オールマイトの件もあるし、もしかして国民の署名とか集まって法的に責任取らされるとかさ……』
『えー、怖い事言わないでよー』
『だけどなくも無いじゃんか〜。現にネットでも監督不行届だ!とか書かれてるしさー。
あ、もう席とってるって早く行こ行こー』
(……みっ、皆に知らせなきゃ!!!)
「って……。それで近くにいたマイク先生に校長室に居るって聞いてそれで……」
相澤は腕を組むと同期で同僚でもあるプレゼント・マイクへの苛立ちを表すため息を1つした。
「……ったく、いいかお前ら。
俺の心配をする前に目の前の事(仮免許)にだけ集中しろ。
芦戸に限らずここにいる全員に言える事だが、不確かな情報に左右されるな。休み時間は合理的に使え」