第11章 猫とバタートースト
「なぁなぁ、知ってる?米にバターとしょう油乗っけて喰うと美味いんだって!」
朝食の納豆をかき混ぜながら、上鳴は目を輝かせた。
朝から賑やかな食卓。
テーブルの上には、アジの干物に卵焼き、ヒジキにみそ汁、ご飯のお供多数にそして白米が並ぶ。
寮生活になり朝ごはんもランチラッシュの美味しいご飯。
しかし昼ごはんとは違い、全生徒が同じ物を食べる朝食「やっぱり日本の朝ごはんは白米だよねー」と、毎日米であった。(どーしてもパンが食べたかったら事前申請してね)
とはいえ、基本は米が主食の日本人。
そしてヒーロー志望の高校生。
おかわりが当たり前なのか、各クラスの米の消費量は半端なかった。
「なに上鳴、朝からウェーイしてんの?あ、鮭フレとって」
向かい合わせに座る耳郎からのツッコミが、切れ味鋭く上鳴を貫いた。
「してねぇよ!ったく、人を何だと……、ほらよ。
あ、ヤオモモ。俺にもタラコふりかけちょうだい。サ〜ンキュ…つーか、すっかりふりかけ好きになったのな」
耳郎の隣に座る八百万の手元には、様々な種類のふりかけが置いてあった。
「確かに。ふりかけ食べた事なかったんだもんね?」
「えぇ、知識としては知っていたのですが現物を見たのと食べたのは初めてで…皆さんに色々教えていただいて、すっかりハマってしまいましたわ」
さすがお嬢様。と言わんばかりの発言も、八百万が言うと嫌味に聞こえないのは、完璧過ぎない彼女の人間らしさか。
美味しそうにご飯にかけて頬張る姿と、増えるふりかけコレクションは、少なからず1Aの朝に安らぎをもたらしていた。
「で?話戻すけどご飯にバターしょう油ってマジで美味いのかな?」
「不味くないと思うけど…ウチはやっぱりパンが良いなぁ」
「パンにバターは相性抜群ですものね。ですが、リゾットなどはバターを使って作りますし、お米との相性は良いはずですわ、上鳴さん!」
「だよなー!漫画でも究極のメニューとかやってたし、明日やってみよっかなー」
「何事もチャレンジするのは素晴らしいですわ!」
冷静なツッコミ役。
それが自分の立ち位置。
「…ま、好きにしなよ」
だけどたまに羨ましくなる時もある。
《ご馳走さまでした!!!》
そんな朝。