第7章 イカれた帽子は兎と歌う
19:32
すっかり日が落ち黒くなった空に、星が沢山見える山道。
自然の光では足りないだろうと、幾つもの人工の光がくっきりとした影を2つ地面につくっていた。
学校までの帰り道、イチと爆豪の手は再び繋がっていた。
どちらからというわけでもなく、ごく自然に。
隣を歩くイチは
「なんでもない日じゃなくなった」
と、訳の分からないことを言って始終笑っていた。
行きとは違って距離の開く事のない距離。
同じ道なのに少しだけ違って見えるのは、気のせいじゃないだろう。
(…たまには悪くねぇか)
門をくぐるまで会話が尽きる事は無かった。