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シュガー・クッキー【ヒロアカ】

第6章  手に塩かけてませんから


 

 結局、何がしたいのかしら?それが蛙吹梅雨の導き出した解答だった。

 会ってから5日目。
 間を抜けば3日も同じ時間を過ごしてはいない2人。

 【任務】と言っていたが結局詳細は分からずじまい。気になるに決まっている。
 いつもなら思った事は直ぐ口に出してしまうが【守秘義務・通達】これらの事から自分達は【任務】に関係してはいけない、それ以上は伝えるつもりは無いという事。



 (先生達の様子から敵ではないのは確かだし、訓練の為に来たのも本当の様だけど、【わざわざ】伝えるつもりが無い事を何故言ったのかしら。適当にどうとでも言えたはずなのに)






― 梅雨はあれだな。やっぱバランスはいいな」

 3回目の訓練の日の午後。

「話し聞き見る限り、特出してる所も目立った欠点も無い」

 一見失礼な物言いだが、蛙吹は冷静に返す。

「あら、こんな短い期間過ごしただけなのに随分と辛口だわね」

「あるとしたら、たまに達観し過ぎる所だな」

「どういう事かしら?」

「俺は心理学者でもなんでもないが、こんな短い期間でって言いきるのは愚言ってこった。
 悪く取るなよ?褒めてんだ。
 ただな、15、6の子供らしさがでても誰にも咎められねぇって思ってな」

「よく分からないわ?」

「今はそれでいいさ」


 男は優しく笑っていた。
 その顔を見て、蛙吹は一拍おいてから口を開いた。


「私思った事を何でも口にしちゃうの、だから聞くわ。
あなた達、本当は何が目的なの?」


 しかし男はただ優しく微笑むだけで一向に口を開こうとはしない。


「……ズルい人だわね」


 正直に伝えると男は更に笑った。


「俺等がわざわざ正体明かしたのは、お前らに正直に接しようと思っただけだ。
 それと信じるかは別として、あれからお前らに嘘は言ってねぇよ」


(日も浅い上に胡散臭過ぎるのは分かっているのに……何だか不思議な気分にさせる人ね)


「さっきのは訂正するわ。ウィル先生は悪い人だわね」

「ほぅ?」

「幼気な子供に隠し事するんだもの」


 男のバツの悪そうな顔に、思わず蛙吹も笑顔になる。


「ケロケロッ。今日のイチちゃんと爆豪ちゃんのバトル、何だか楽しみだわ」


 全部は腑に落ちないけど…仲良くなれそうだわ。

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