第15章 蝕まれた先の咆哮
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『こんだけ騒ぎゃ、ある程度のペナルティは必須。
てな訳で、そっちの3人は午後の授業が終わり次第、道具の手入れ。
んで、元凶のお前さん達2人は屋外プールの清掃な』
水を抜き来年を待つにはまだ早く、使用者も減り水面には様々な物が浮かんでいた。
溢れ出た水に混じって、散らばっていた落ち葉やオレンジ色の花が枠外へと押し出されて。
寄せては返す波とは違い、寄せたら寄せた分だけ水は溝へと吸い込まれて姿を消していった。
思いの外吹き飛んだ体。
殆どプールの真ん中に近い場所から爆豪が顔を出すと、意思に反し体は浮き沈みを繰り返した。
何とか数回目で体を反転させ力の限り底を蹴り、沈んだ場所から少し離れて水中から顔を出す。
鼻からも水が入った事により酷くむせていると、今度はバケツをひっくり返したくらいの水が飛んでくる。
――BOMB!!BOMB!!
態度・言動は別として爆豪には割と常識人な一面がある。
その為か立場(ペナルティ中)を考え先程まで大人しくしていたが、その我慢も限界を迎えた。
ここ迄やられたら黙っていられるわけがない。
濡れていても一瞬の爆発なら威力はそれなり。
大半の水は瞬時にその姿を湯気に変えた。
それに伴って少しだけ水面の温度が変わると、その生温さにイライラは更に募り、髪を伝ってボタボタと落ちていく水滴の隙間から一点を睨みつけた。
「ありゃ、元気になるおまじないなのに怒るのは何で?」
距離にして3メートル、おおよそ水面から20センチのプールの中央。
不服そうな表情で、そこにイチは立っていた。