第3章 狩るもの狩られるもの
ウェンウィル達が来て3日目。
個性の癖や体の動かし方、基礎体力、簡単な手合わせを得て迎えた2回目の授業。
1日目とガラリと変わり、極力個性を使わず、尾白や常闇影踏の様な異形の者はありきのメニューで組まれ、サポート科の作ったマシンなども駆使して行なわれた。
だが
準備体操と称し最初の1時間は「最高じゃないか……!」とウェンウィルが大絶賛した【地獄の我ーズブートキャンプ(ライト版)】を皆やらされるのであった。
恥ずかしそうに常闇と口田甲司がやっている姿はなんとも気の毒だったが、常闇の個性である黒影(ダークシャドウ)は楽しそうだったので良しとしよう。
当たり前だが大元凶の緑谷出久に、非難の目が集中したのは言うまでもない。
後に彼は思い出した様に話したという。
【かっちゃんの視線に殺されるかと思った】
全くもって損な男である。
そんな緑谷は片目を封じた状態で飛んでくる【不規則な暴君ボール】を避ける訓練(たまに硬いにも程がある死ークレットボール(死角を狙って)が飛んでくるよ)
蛙吹は柔軟さと冷静さを伸ばす【巨大ジャングルジム】の攻略(気分屋なカウントダウンが鳴るとGOALへの道が1ヶ所ずつ狭くなるよ)
お茶子は【超高反発サンドバッグ(お好きな顔を添えて)】をとにかく痛ぶる(上手く急所をついていくと破壊されるよ)
逆に砂糖力道は生身の体で、【鬼のぶつかり稽古疑似体験マシン1号】による耐久性の強化(序ノ口〜横綱までランダムだよ)
耳郎は黒板引っ掻き音が鳴る防音BOXの中で、初目明の自信作【殴って防ぐジャンケン野郎】との勝負。
耳と反射神経&メンタルを鍛える(頭だけじゃなくボディも鋭く狙われるよ)
庄司目蔵は四方囲まれた場所で暴れる爆走スーパーボール達の捕獲(攻撃性が高く群れでつるんで動くよ)
各自あたえられたメニューをこなし続け、長い午前も終わろうとしていた。
「何なんだよこの訓練〜〜……」
悲鳴をあげている1人の峰田は気持ちが落ち着くのか、自身の頭を何度ももぎるとポイ捨てしてするであった。