第15章 蝕まれた先の咆哮
「ったく、俺言ったよな?」
「……」
「黙秘権はねぇ……ぞ!」
――ゴリッ
「っ〜〜〜!!」
1日の授業も終わり。
世間でいう放課後の一時。
轟焦凍の声にならない叫びは、訓練場の広い空間に呑み込まれた。
続けて反対の腕も掴まれ背中に回されると、数秒前のリプレイ。
ほのかに汗が滲み出て、その額には髪がまとわりついていた。
「……ちょっと違和感があっただけだ」
不貞腐れた様子の轟。
それを受けてウェンウィルが両腕を掴んで同時に後ろに伸ばすと、徐々に轟の表情が苦痛に歪む。
「なぁ〜にが、「ちょっと違和感が…」だよ、嘘つくな。見てりゃすぐ分かんだよ。ただでさえ成長期真っ只中なのに、オーバーワークし過ぎなんだよお前さんは」
「……」
「また黙りか?てか、年相応の反応もすんだな、安心したわ。
ほら、サービスだ、一通りやってやるよ」
淡々としながらも、どこか喜々とした口調で伸ばしていた腕の拘束を解く。
力が抜けたのか、少し押されただけで轟の上半身は簡易ベッドの上にうつ伏せに倒れこんだ。
「不服そうなオーラだしてんな。これでも軍人時代ゴットハンドって評判だったんだぞ?
抑えるとこ知ってたら骨抜きにするなんて簡単なんだよ。
ま、けしてお前が仮免前に?加減もしないで肩痛めかけてるからこうなってる、って訳じゃねぇから、よ」
もはや後ろを向かずとも表情が見て取れる気がする声のトーン。
観念して自身の腕を枕代わりに組むと、観念した様子で轟はその場に突っ伏す事にした。
そもそもなんでこんな事に。
この状態になるまであっという間で、もはや記憶する機能が追いついているのか心配なくらいで。
(片付け終わった途端に声かけられたと思ったら……上着剥ぎ取られたな。それから……)
どこからともなく訓練場に設置された簡易ベッドに上げられて、少し前に至る。