第12章 What's your name?
「ルルは自分が法律だからね。
それに自分の事は自分で何とかするさ、まぁ世話焼きなのは君の良い所だよ」
「それはそれは、ありがとよ。
でもよぉ、わざと3、4ヶ国語まぜてんだぜ、見てらんねぇよ」
〔アタシが話してやってるのに聞き取れないのがいけないのよ〕
「JJは?一緒にいるんじゃないの?」
「ばーか、忘れたのかよ。
人見知りすんだよ、英国紳士どのは」
コホンと咳払いが1つして、JJと呼ばれた男は被っていたハットを恥ずかしそうに触った。
それを見てルルは絡めた腕を更に強く絡め、凄い形相で履いていた靴を寝転がる男、フォルトに投げつけた。
「いって!何すんだよ!」
〔黙りなさいクソガキ!何の権利があってこの人の事ディスってんのよ!!それに今はその言語で話す必要無いでしょ!さっきから耳障りなのよ!〕
「俺は35だ!ガキじゃねぇし、ディスってねぇよ!
事実だろ!じ・じ・つ!郷に入れば郷に従えだ!
せっかく記憶させてやったってのに今使わなくていつ使うんだよこのバッ…!」
の、次に続く言葉は想像に容易い。
だからこそ素早くフォルトの口は塞がれた。
「あー……僕お腹空いちゃったよ、色々買ってきたから皆もどう?」
「……貰おう」
いつの間に拾ったのかJJの手にはルルの靴があった。
跪くとそれをうっとりした表情で見つめるルルの足へと返してやっている。
「……あにすんだよアインツ」
鼻を擦りながらフォルトは体を起こした。
高い鼻が数ミリ縮んだようだ。
「助けてやったんだよ、感謝してほしいもんだ」
アインツと呼ばれた青年は袋を手にガサガサと買ったものを並べ始めた。
しかし青年と言うには曖昧な雰囲気を纏うが、4人の中では極めてシンプルな白のYシャツに黒のアンクルパンツとスニーカー。
髪は明るいブロンドの短髪で瞳は青。
見た目はフォルトよりも幼く見える。
言うなれば青年になりかけているという所だろうか。
「怒らせて一週間動けなくなったの忘れたの?
昨日新作が出来たみたいだし、今怒らせるのはマズイよ」
「……マジかよ危ねぇー」
「……それにもう直に例の日だ。
わざわざ蜂の巣を突く真似しなくたっていいだろ?」
「違いねぇ。あ、オレそのデニッシュ、後コークな」
「はいはい……‥‥