第5章 Chapter5【福引券で運試し】
【Side:佐助】
「おはようございます」
「おはよー、名前ちゃん」
「名前殿!!おはようございまする!!」
朝、俺様が最近日課になりつつある朝餉の支度をしていると名前ちゃんがリビングにやってきた。
……そこまでは良かったんだけど、さ……
「……この匂い、今日は玉子焼きか。我は甘い玉子焼き以外認めぬ」
何故か名前ちゃんと一緒に、毛利の旦那もやってきたんだよね。
ーーそれも、名前ちゃんの肩にちゃっかり手を置いた状態で。
「!?」
これには旦那もかなり驚いたみたい。
今にも「破廉恥!!」と叫びそうになるのを必死に堪えているようだ。
……偉い!!旦那、よく耐えたね……!!
「ちょっと、毛利の旦那?うちの旦那には刺激が強すぎるから、名前ちゃんの肩に乗せた手を降ろしてくれなーい?」
これ以上は旦那も耐えられないだろうし、俺様もちょっとだけ変な気分になる。
変な気分っていうか……なんか、こう……モヤっとする感じ?俺様よく分かんないんだけどさ。
まあ、そんなこんなで毛利の旦那が名前ちゃんにくっつくのを止めさせようとしたってわけ。
「こやつは我が駒。故に何処に手を置こうが我の勝手ぞ」
でも、毛利の旦那は文字通り聞く耳を持たずって感じで、名前ちゃんの肩に手を置いたままツンとそっぽを向いてしまった。
「あの、元就さん?私もこれから、佐助さんと一緒にご飯を作らないといけないので……」
ほら、やっぱり名前ちゃんだってこの状況に困ってたみたい。
やんわりと肩に乗った毛利の旦那の手を……って、え?
「名前ちゃん、今……毛利の旦那のことを……?」
「え?……あ、はい。そう呼ぶようにと元就さんに言われて……」
そう言って、名前ちゃんは苦笑いを浮かべた。
……あちゃー、これは旦那の我慢の限界だね。
ほら、旦那ってば勢いよく立ち上がっちゃったし?
これでもかってくらい大きな声で「破廉恥で御座る!!」って叫び出ーーーー
「……毛利殿、御自重なされよ。名前殿が困っているではないか」
ーー真剣な表情でそう言った旦那の姿に、俺様は驚きのあまり皿を落としそうになってしまった。