第4章 Chapter4【賑やかさと食費が割増】
佐助さんに呼ばれ、脱衣場へ向かった私。
そこで目にしたものはーー
「……幸村さん、佐助さん……これは、一体……」
「ふっ、不甲斐無い……!!」
「名前ちゃん、旦那の暴走を止められなくて本当にごめん……」
「幸村さんが床を水浸しにした」という声は聞こえていたため、ある程度の覚悟はしていたつもりだったが……
本当にバケツをひっくり返したかのようなレベルで水浸しの床。
壁の至る所に飛び散る泡。
そして……粉々に砕けた、浴室と脱衣場を隔てていたはずのガラスの扉らしきモノ。
予想を遥かに上回った凄まじい光景に、私は思わず頬を引き攣らせてしまう。
「実は旦那が名前ちゃんに教えてもらったしゃんぷーってやつを使ったら、目に入っちゃったみたいで……」
「……ああ、だからこんな状態になったんですね……?」
「誠に申し訳御座いませぬ……某は名前殿に御迷惑ばかりを……」
私の言葉に心底申し訳なさそうに頷く佐助さんと幸村さん。
その様子を見ていられなくなった私は、慌てて二人に「大丈夫です」と声をかけた。
「床や壁は掃除をすればいいだけなので気にしないでください。……それに、幸村さん達にとっては知らないことばかりですし、失敗するのも無理ありませんから」
「名前殿……!!」
そう、こればかりは仕方がない。
私達にとっては当たり前でも、幸村さん達にとっては初めてで難しいことなのだから。
……正直、痛みのあまり扉を破壊してしまう幸村さんのパワーには驚きを隠しきれないけれども。
「ただ、私一人で掃除するのは大変なので、幸村さんや佐助さんも手伝ってくれると助かるのですが……」
「っ、この幸村!!名前殿のため!!全力でお手伝い致しまするっ!!!!」
「勿論!!というか、寧ろやらせてくれなきゃ駄目だって」
「二人とも、ありがとうございます。……それじゃあ毛利さんも待ってますし、頑張りましょうか」
毛利さんから始まって、幸村さんと佐助さん。
個性豊かな三人が私の家にやってきた。
……たった数日でこんなにも賑やかになるだなんて、当時の私は思いもしなかっただろう。
でも、それが不思議と嫌な気分にならないのはーーーー
私自身がこの状況を、少しだけ楽しんでいるからなのだろうか。