第4章 Chapter4【賑やかさと食費が割増】
「ふああ……」
「貴様には恥じらいというものが無いのか」
現在の時刻は20時、夜である。
疲れと眠気からつい零れた私の欠伸に、毛利さんがこれでもかというほど呆れた声で指摘をした。
「ご、ごめんなさい……まさか、あんなに時間がかかるとは思わなくて……」
私の脳裏に浮かんだのは、今朝の出来事だ。
ーー新たな住人、幸村さんと佐助さん。
そんな彼等にまず最初に話したのは、この世界の「常識」についてだった。
大声は極力出さないこと、武器は物置へしまうこと、他にも衣食住やお風呂のことなどを一から十まで説明した結果……お昼を過ぎました。
次に説明したのは、毛利さんも含めて「部屋」について。
初めは毛利さんだった上に彼はソファーを気に入っていたのでリビングで寝てもらっていたけれど、今日からは三人だ。
流石に全員リビングで寝てもらうのは申し訳ないため、彼等には空き部屋を提供することに。
……といっても、私の家はそこまで大きな家ではない。
私の寝室とリビングを除き、空いている部屋はたったの二つ。
そのうちの一つなんて資格の本やパソコンが置かれた所謂仕事部屋のため、かなり狭かったのだが……
「毛利さんがあの部屋を選んでびっくりしました。もっと広い部屋が好みかと……」
「……我はあの書物の山が気になっただけぞ」
そう……毛利さん自ら狭い部屋を希望して、幸村さん達がもうひとつの空き部屋を二人で使うと言ってくれたことで話が綺麗に纏まった。
その後は空き部屋の掃除をし……終わる頃には夜になっていて、今に至るというわけだ。
「幸村さん達がお風呂から出たら、アイスでも食べましょうか」
「……フン」
「…………」
何故だか、毛利さんは朝から機嫌が悪い。
バタバタしていて日輪を拝む時間が少なかったから?
それともーーーー
「名前ちゃん、こっちに来てくれる!!?旦那が床を水浸しにしちゃって……!!」
「っはい、すぐに行きます!!毛利さん、アイスはもう少し待っててくださいね!!」
「…………」
……毛利さんにはアイスをひとつ多めに渡そうかな……
そう思いながら、私は慌てて二人のいる脱衣場の方へと向かった。
「……何故、名を呼ばれぬだけでここまで胸がザワつく……?」