第3章 Chapter3【お酒は飲んでも飲まれるな】
朝。
毛利さんの日輪に対する喜びの声で目を覚ました私。
「おはようございます、毛利さん」
「…………」
前回と同じように両手を広げながら光合成……じゃなくて。
日輪を拝む毛利さんに挨拶をすると、暫く無反応だったものの不意に横目でちらりとこちらを見つめ、再び視線を空へ戻した。
……と、ここで毛利さんのとある変化に気が付いた私。
「あ……昨日渡した服を着てくださったんですね?ありがとうございます」
「……フン」
ーーーーそう、服だ。
毛利さんが今着ているのはあの緑色の変わった服ではなく、昨日渡したベージュのニットに白シャツというシンプルでありながらオシャレな服。
つまりは、昨日買ったばかりの「店員さんおすすめコーデ」だったのだ。
昨日、家に帰ってから早速毛利さんへ彼用の服や日用品を渡した私。
渡したものの中には彼の世界に無いものがあったらしい。
不満そうな表情で私を見つめるためプリンの時のように説明をすれば、やはり毛利さんは頭がいいのかすぐに理解してくれて…………
「貴様、早う朝餉の用意をせぬか。我は餅を所望する」
「は、はい!!」
思う存分日輪を拝み終わったのか、ソファーに移動して慣れたように足を組んで座る毛利さん。
……早く朝ご飯の用意しないと、怒られそうだなぁ…………
一緒に暮らし始めて二日目の朝。
いつになったら毛利さんと、最低限の会話を楽しめる程度に仲良くなれるのか不安になる私でした。