第1章 chapter 1 -Recognition-
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「ハンナ副官、大丈夫でありますか?顔色が悪い気が・・・」
『あぁ、大丈夫。心配してくれてありがとう』
昨日、あの後何杯か飲んだ後解散したもののアメリーの言葉が頭から離れず寝付けなかった。
だが、今日は王都を囲む市街地での業務が入っている。しっかりしないと。
「しかし、僕たちが立体起動装置をつけておく意味があるのでしょうか?」
『もし何か犯罪が発生すれば立体起動で先回りして犯人も捕まえやすいでしょう。』
そう言い空を見上げる。とても綺麗な青空だ。
「この天気、眠たくなりますね・・・」
一人の憲兵、クルトが大欠伸でそう言った。
『今は業務中。もっとしゃきっとしなさい。』
すると前方の地下街へ行ける入り口が何やら騒がしい。
「っち、おい!!このゴロツキ共!!!!!!!!」
微かに下の方から聞こえるその声に思わず反応してしまう。
「あー・・・例のゴロツキですかね?
まぁでも今は調査兵団預かりですから私たちじゃ手出しできな・・・ハンナ副官?!」
『ちょっと!!!先行ってて!!!!!』
ちょうど立体起動装置もつけている。
お手並み拝見と行きますか・・・。
わたしは勢いよく走り出すと地下街へ向かった。
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なんだかんだ言って地下街に来るのは初めてだ。
じめじめした空気。
・・・ここが本当にウォールシーナ内?
まったく別物のように思える。
左で気配を感じた。視線を向けると恐らく立体起動装置で宙に浮いてあるであろう3人がこちらを向いていた。
『ねぇ、話がしたいんだけど!!』
出来る限りの大声で叫んでみるが当然反応はない。
そしてびゅんっと3人別の方に飛んでいく。
『ちょっと!!』
わたしも慌ててアンカーを飛ばす。
・・・まるでおちょくられているようだった。
距離を詰めたと思っても離される。
・・・これは、まずい。考えないと。
わたしは今まで飛んでいた方向ではない方へ迂回し先回りをすることにした。
すると、予想は的中し目の前に小柄な女の子が現れた。