第16章 恋に落ちる音【瀬呂範太】
スっと背筋を伸ばし指揮者を見つめ奏でられた音達はひとつの音色となり広い体育館に響き渡る
長い髪をポニーテールでまとめ、ソロも堂々とこなしてみせる姿がやけに輝いて見えた
「せろ〜行こーぜ、な!」
「え〜」
「いいじゃぁん」
「あ〜はいはい」
駄々を捏ねる上鳴にいい加減面倒くさくなって首を縦に振る
「んじゃあそういう事でかっちゃんも一緒に行こ!!」
「ふざけんな」
「そう言わないでさぁ」
「楽しそうじゃねえか!行こうぜ爆豪!」
「うるせぇ行かねぇ」
「かっちゃぁぁん」
泣きべそをかく上鳴に爆豪の目は徐々につり上がっていく
「かっちゃぁぁん」
俺も真似して爆豪に擦り寄ると派手に振り払われた
「ふざけんな!そこの醤油顔とクソ髪で行ってこいや!」
んで結局
(こーなるのよねぇ)
あの子可愛い!!とさっきから煩い上鳴は屋台の食い物で塞がった両手で指を指す
「指ささないの」
「ああ、ごめんごめん」
「お!爆豪、ここのだしもん激辛だってよ」
「はっどうせ大した事ねぇだろ」
後ろを歩く切島と結局着いてきてくれた爆豪はマップを見ながら3年生の出し物“挑戦者求む!激辛タイムアタック!!”に参加しに行った
「あ゛!やべぇ!ステージ始まっちまう」
いつまに食べきったのやらすっかり空になった手で上鳴に引っ張られ体育館の後ろの方で緞帳が上がるのを待つ
そして、幕が上がる
「ご来場の皆さんありがとうございます。私達は吹奏楽部です。先日のコンクールでは金賞を頂きましたが、ここでは皆さんに楽しめる音を届けたいと思います楽しんでいってください」
部長が席に着くと指揮者が一礼して指揮棒を構える
ドッと心臓がはねたのが分かる瞬きも呼吸も忘れてたった鳥肌が収まることも無く見入ってしまう
(すげぇ、、)
最近流行りのロックバンドの曲、圧倒的な重量感に心臓がしめつけられる