第10章 再会
暗い闇の中……。
深く深く……闇に吸い込まれていく。
『此処は……どこ?』
ソウルは、深い闇の中にいた。
あたりは暗く、誰もいない。
そこにひとつの映像が映し出された……。
その映像は……そう……あの時の出来事だった。
『ヒッ!……な………んで?いや……いや!』
日本が血まみれで倒れている……その目の前に兄に刃を向ける自分。
その映像は……パリンと、ガラスのようにいきなり破れたのだ。
『え?な、何?何これ?』
「お久しぶりですね……。」
突如、聞こえたある人物の声……。
闇の中なので、顔は見えない。
それでも、ソウルはこの声を知っている。
いつも自分を、励ましてくれたり、時には厳しく時には優しく自分を育ててくれた人物……。
『あ……にうえ?』
「はい。ソウル……本当はこんな形では再会はしたくなかったのですが。」
『じゃあ、いきなり目眩してイギリスさんの前で倒れたのは。』
「それは私のせいです。術をかけたので……後少しは目を覚まさないかと。」
『そうなんですか……兄上……私は……。』
「それに……少しだけ話したかっただけなので……。」
『でも……兄上……私は、兄上を裏切った……兄上が国を辞めるなんて……私のせいです……私のせいなんです!』
「聞いていたんですか?」
『ごめんなさい……これ以上は頭が混乱してるんで……今は一人にしてください。』
「……そ、そうですね……。それでは……また。」
そう言って、日本は暗い闇の中消えていった。
そこに一人、ソウルは泣いていた……。
声にならないほど……暗い闇の中……ずっと……。