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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第6章 Untainted, Unbroken ※


その日、調査兵全員に第31回壁外調査の全容が伝えられた。

配布された作戦企画紙を見ると、以前とかなり編成が変わっていた。

「サクラ~」
後ろから呼ばれて振り返ると、ハンジとモブリットがこちらに手を振っている。
「ハンジ分隊長!モブリットさん!」
「あ、企画紙見た?今、エルヴィンと話してきたところなんだけど、今回も巨人捕獲作戦はやらないんだってさ」
不満げに話すハンジに、モブリットは冷ややかな目を向けた。
「それは、分隊長がヨアヒムを死なせたからじゃないですか。根に持った中央が、捕獲作戦費用を出し渋っているんですよ」

ヨアヒムとは、第25回壁外調査の時に捕獲した巨人のこと。
けっきょく、ハンジがいじくり倒したあげくに殺してしまった。
本来ならば中央に引き渡すはずだったので、エルヴィンが王都に召喚されて大変だったと聞く。

「まあ、チャンスがあれば捕獲するからね!サクラもよろしく」
「はい。でも、私は今回、次列伝達なのであまり巨人に遭遇できないかもしれません」

伝達とは、索敵支援班と荷物運搬係の間に位置取り、予備の馬と並走しながら緊急連絡を伝達する係のこと。
巨人との遭遇が少なく、それだけ捕獲のチャンスも低くなる。

「しかたないよ、今まで伝達だった子が退団しちゃったんだ。だいじょうぶ、私が自由にさせてもらうよ」
「分隊長!あなたはエルヴィン団長と同じ、次列中央から一歩も動いてはいけませんよ!」
「じゃ、そういうことで。頼んだよ、サクラ!」

いったい何を頼まれたのかよくわからないが、とりあえず頷いておいた。

過去数回の壁外調査でわかったことがある。
ああ見えて、ハンジは誰よりも人類のことを考えている。
エルヴィンは目的達成のためには犠牲を厭わない人だが、ハンジはなるべく人間の血が流れない方法を選ぼうとする。
自分は誰よりも無茶をするくせに・・・

エルヴィン・スミス
ハンジ・ゾエ

心から尊敬できる。
命をかけるに値する上官だ。
そもそも自分の命にそれだけの価値があれば、の話だが。
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