【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
「へえ・・・そっか」
これも研究者の悲しい性というものか。
いったん興味を持つと、とことん調べたくなる。
リヴァイという男は、最初からハンジの興味を引いていた。
立体機動をどこで学んだのか。
それほどまでの実力者でありながら、何故地下街のゴロツキに甘んじていたのか。
そして・・・
本当は何を思い、何の目的で調査兵団にいるのか。
「リヴァイのお眼鏡に適う兵士がいるといいね」
リヴァイ。
これは私の憶測だけど・・・
君は、自分と関わりのある人間を失うのが怖いんだろう。
ファーランとイザベルを失った過去に囚われたままなんだね。
そういえば、リヴァイの笑顔って見たことあったっけ?
あの二人が死んだ時、リヴァイは涙を流したんだろうか?
人間性よりも実力のみを重視するというと、一瞬冷たいように聞こえる。
でも、相手が強ければ強いほど、それだけ死のリスクが減って安心できる。
自分と関わる人間の命には必ず責任を持つ、そういう人柄だからこその言葉かもしれない。
ハンジは、去っていくリヴァイとエルヴィンの後ろ姿を見つめた。
高身長のエルヴィンと比べると頭一つ分低い、小柄なリヴァイ。
粗暴で、皮肉屋で、神経質で、無愛想で、近寄り難い男だが、何故か彼の周りには人が集まる。
きっと圧倒的な強さと、垣間見せる優しさに、人は惹かれるのかもしれない。
ハンジはそう結論づけようとした。
あの日、リヴァイの儚いまでの脆さを目の当たりにするまでは・・・