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α派について

第4章 夏前の冷たい風


春が終わってじわりじわりと暑くなるお昼頃、私は椅子に座りながらアイスを食べていた。

相変わらず会社では上司に怒られて、家では二人の喧嘩を聞いたり巻き込まれたりしている日々。
こうして風を感じながらアイスを食べる事を前より至福に感じるようになった。

「アルファ」

KAITOが私の名前を呼んだ。未だに慣れない。顔が熱くなる。アイスを一口頬張った。

私の隣に座ってじーっと見ている。まるで私が食べているアイスが欲しくて仕方がないように見つめてくる。
私はそれを避けるかのように逆の方を向いた。

「な、何か用?」
私がそういうと、すさまじくアイスを狙っていた目をそむけて言う。

「最近、何してんの?」
KAITOが質問してきた。訳が分からず沈黙が流れる。
一緒に過ごしているはずなのに…主旨が全く分からない。

「アイス食べてる」
私はそう答えた。でもそれは最近ではなくて今だよなと、頭の中で思う。

「そうじゃなくてさ」
KAITOの方を見る。KAITOは今にも泣きそうな顔で私に話しかけてきた。

何かの罰ゲームか何かだろうか。それにしても、こんな顔をするKAITOを初めて見た。

もしかして徐々にヘタレ化しているのだろうか・・・?

「最近・・・僕たちの事・・・」
そう言いかけた時、まるで肯定するのが嫌なように「いや、やっぱなんでもない」と言ってテーブルから離れて行った。きょとんとする私。

俺たちの事が何よ!
モヤモヤするけど、なんだか聞き返せる空気じゃなかった気がする。
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