第4章 俺の親愛なる
「私のために頑張って!絶対勝ってね!」
荻原が勢いよく叫んだ後にヘラっと笑って、なんか知らないけど左右に揺れてる。
え?天使?
は?天使?
神が使わした天使なの?
あ、わかった。
実は行きのバスが横転か何かで実は僕は死んでいて、だから目の前に天使が現れたんだ。
この天使すごく荻原に似てる。
そうじゃなくて、荻原が天使だったのか。
たった15年の短い人生だったけど、生まれてから15年で天使に出逢えたならイーブンってとこかな。
天使が迎えに来るほど徳の高い人生を歩んできたつもりはないけど、そんなのどうでもいい。
とにかく天使はいた。
天使が存在した。
その事実だけで天にも昇る気持ちになった。
「天使」
思わず呟いた声で、我に返った。
夢じゃなくて現実じゃないか。
ついでに言えばここは青城の体育館だし、烏野の部員もいるし、コートを挟んで向かい側に青城の部員もいるし、あ、僕死んでなかった。
とんだ早とちりもいいところだ。
てか、結構やばげなことを口走ったような気がする。
なんとか誤魔化さないと。
「..え?」
天使が喋った。
いや、天使もとい荻原が喋った。
首を傾げて僕に怪訝な顔を向ける。
どの角度から見ても天使の生き写しだから困る。
これはさすがの僕も勘違いするでしょ。
それはそれとしてなんとか誤魔化そう。
なんでもない風を装わなくては。
「あのさ、バカなの君」
え、は?何言ってんの僕。
神が使わした天使に何言ってんの死ぬのバカなの死ぬの、いっそ死ね。
「見てるこっちが恥ずかしい。そんな大声出して、バカじゃない?今どきそんな寒いこと言う奴いたんだ」
おい、なんて酷いことを言うんだ僕は。
そんな心の片隅にもないようなことをどうして口走るんだ。
根本的に性格が悪いからか?
人間性の問題なのかこれは。
やばい、まずいフォローしなきゃ。
嘘、今のは嘘、応援されたからには頑張るよ、的なことを言え。言うんだ早くしろ。