
第3章 惚れたら負け
1年の..ポジションはMBと言ってたか、貴重なチーム1の長身、これからは前衛の要になってくれそうな有望な一年、月島蛍。
キャプテンとしてざっと一年を観察してみた中では一番後輩として扱いにくいであろう。
初対面の印象も今日の試合前までの印象もさしていいものではなかったが。
あの同じ1年のあの子が体育館に入ってきた瞬間に、俺はピンと来たね。
あ、コイツわりと扱いやすいタイプの子かも、って。
だってクールぶってんのか何なのか知らないけれど、とてつもなくわかりやすい。
何がわかりやすいって、あのマネ希望の1年の子に対する対応と来たら。
俺はバックに花が見えた。
あの子が月島に話し掛けた時と、スコアボードから彼女が頑張れ、的なことを言っていたときの月島の顔の赤らめ方は半端ではなかった。
彼女を一目見て動揺してボールを落としたときからなんとなくピンよ来たけど。
ものは試し、とか思って「あの子今お前のこと見てたぞ-」とか「お、あの子今月島のプレーみてすごーいって言ってたな-」とか。
たったそれだけでスイッチが入ってしまうのだから、疑惑も確信に変わる。
恐らく、というより絶対、月島はあのマネ希望の子が好きなのだ。
そして適当にあの子を使って月島を鼓舞しておけば何故かスイッチが入ることが判明してしまった。
ということで、月島蛍はここにいるどの一年よりも扱いやすい存在だ。
あのマネちゃんがいる場合に限り、かもしれないが。
「月島」
ま、とは言え『彼女抜きでは』一番面倒で扱いにくそうなコイツのアフターケアはしてやっか。
「どうだった?3対3」
「別に..どうでも。エリート校の王様相手だし、僕ら庶民が勝てなくても何も不思議じゃないです」
な、可愛くない。
そして面倒で扱いにくい。
ほぼ初見の印象そのままだ。
まあ、からかってやるのもいいか。
「ふーん、その割にちゃんと本気だったじゃん」
なんて笑ってやると、微妙にムキになりそうな顔をしたから少し面白い。
「まあ、あの子も見てたしな?」
追加で爆弾を落とした後、清水とその他上級生に軽くルールの説明を受けているマネの子に目をやる。
と、まあまあまあ予想通り顔を赤くした月島に睨まれた。
「それは別に関係ないです」
フイ、と目を逸らした月島にもう一言からかってやろうかと企むが、日向の「キャプテン!」という声に阻まれ叶わなかった。
