第3章 惚れたら負け
「あ、でもひまり」
「ん?何よ」
「男バレ今年イケメン入ったって聞いたよお、一年三組..だったかな?黒髪で背が高いエース?の人だって!」
「あ、それ私も聞いた。なんだっけ、王様って言われてる人だ」
「え、私コート上のプリンスって聞いたけど」
「王子様みたいなルックスってこと?いいじゃん、イケメン」
「知らないけどそうなんじゃないの?他にも何人かカッコイイ人いるって聞いたよお、マネ希望の子男バスに流れたから狙い目かもよ」
彼女の隣のモブその1と2が何故か謎のテンションで男バレマネを推薦し続けるがハッキリ言って好都合なのでこのまま粘って欲しい。
王様でもプリンスでも誰でもいいからなんとかして荻原をバレー部へ招き入れろ。
「ツッキー今日どうしたの?顔怖いよ」
「なんでもないから」
山口うるさい、と口に出してしまいそうだったがすんでのところで我慢した。
何故なら山口は今まったくうるさくしていなかったからだ。
「そうだよ、イケメンと付き合えるかもじゃん!
それにほら、バレー部なら長身でしょ。イケメンに長身なんて最高じゃん。やってみなよ!んでイケメン紹介して」
「ええ..そんなのさあ」
荻原が一瞬しかめ面をして考え込んだ後、顔を上げた。
「いいかも!イケメンかあ、確かにその考えは無かったわ~来週見学行ってみようかなあ」
プリンスプリンス~バレーの王子様~なんてアホみたいな歌を口ずさんで上機嫌な彼女。
アホみたいというより正真正銘のアホだろう。
とは言え北一の王様には頭が上がらなさそうだ。
異名の由来も違えばあだ名はプリンスじゃなくてキングなわけだけど。
そんな細かいところはどうでもいい。
とにかく影山がコート上の王様でよかった。
本当によかった。
それにしても、ここまでアホ剥き出しでイケメンという単語に釣られている彼女を見ていると何か少し虚しい。
なんで自分はこんなバカ女を、、と嘆かわしく思わなくもないけれど。
とはいえ、彼女が男バレマネに前向きになったならよしとしよう。
彼女がいかにビッチで頭が悪くて問題児で軽いバカ女だったとしても、まあそんなことはどうでもいいかと思える程に自分は彼女が好きらしいのだから。
心理学者か誰かも言ってたじゃないか。
恋愛って言うのは惚れた方が負けだって。