第7章 迷える子羊
梟谷学園グループに混ぜてもらって合宿を行うことになったんだけれど、
「で、来月になったらーー、期末テストあるのわかるよね?
わかるよね?」
何で2回言ったの、先生?
赤点で補習になる教科がある場合、遠征は物理的に無理か。
夕先輩、龍先輩、日向くん、影山くんの表情の悲壮感よ…。
「あかっ、赤点て!!何点ですかっ!!?」
「そっから!?」
「私も分かんない。蛍、何点からだっけ?」
「七瀬さん同志!?」
「それは違いますよ」
ひぇっ、武田先生。
先程怒られた記憶が…っ!
「4月の新入生答辞覚えてないの?」
「ま、まさか…っ」
日向くん、そんな驚愕した表情してるけど、
「喋ったの私じゃないよ」
「え?」
「まぁ確かに?"喋ったの"はカナじゃないよね」
あれだ、学校まで来たものの、多種多様なとある事情で答辞の時間に体育館に間に合わなかったので、同じクラスの、頭良さげなメガネ男子くんに答辞の紙を押し付けたら、メガネ男子くんが
「新入生代表、七瀬羽奏」まで読んだんだ。
羽奏って、どう考えても女子名なんだけど、メガネ男子くんの頭はどうなったいたんだろうか?
「失礼なこと考えてそうだけど、答辞考えたの僕じゃないし、読んだだけなんだから、新入生代表はカナでしょ」
こちら、白羽の矢が立ったメガネ男子くんです。
問答無用で紙押し付けて私がいなくなったのが、答辞の一つ前のプログラム。先生に相談すら出来なかったらメガネ男子くんは、リハなしで壇上に上がり答辞を読んだわけだ。
完璧だったらしいけど。
それにしても、やっぱ蛍エスパーだ。
「スゲー!!頭いいんだな!」
「分析とか、頭良さそうだしな!」
「そんなこと言ってないで、お前らは自分の心配しなさい」
澤村先輩が最近お父さんに見える。
何この大黒柱感。
「まず お前らがこれから絶対に守ることは、授業中に寝ないこと!!」
そっか、寝てたのか。
授業中に大枠でも覚えちゃえば、大分楽なのに。
ま、がんばれ。
完全に他人事だったはずなのに、
「七瀬さん!!!と月島!!!ーーさん!!」
後からつけた感満載の敬称だなぁ。
「勉強教えてくれ!!!…さい!!」
何か、面倒なことになりそう…。