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満開桜

第12章 合宿Another story 卯月千景 甘裏


「で?千景さんの思い出ってなぁに?」
千景『あぁ、少し昔話するよ。最後に質問をしようか。ある国に2人の少年がいました。2人は生きていく術を自分達で身につけ毎日を暮らした。そこに新しい友人ができた。確証はない、だけどどこか居心地の良さすら感じたある日のこと。先の友人がとある理由から死んでしまった。そして後の友人がその原因であると知らされ憎み続けた。だがそれは誤解だと気付かされた。…めぐ、この話の教訓は何だと思う?』
そう、それは千景の過去。所々省いているが全て事実。それをなんとなく悟っためぐは答えを告げる。
「今が幸せならいいんじゃない?」
千景『…なぜそう思う?』
千景の目つきと口調が変わった。こんな千景は初めて見た。でもこれが本当の千景だ。直感がそう告げる。
「過去は変わらないし変えられない。でも未来は今の千景さん次第。今より不幸になるかもしれない。今より幸せになるかもしれない。千景さんが思う通りにしたら大丈夫。何も怖くないよ。」
千景『随分冷静に話をするんだな。意外だったよ。』
「なんとなく千景さんは自分が動くより周りの人間を動かそうとするところがある。無意識か意識的かはわからないけどね。」
千景『はぁ…本当に鋭くて困るな…』
「でも千景さんがちょっと近くになった気がする。」
千景『そうか?』
「うん。話し方もそうだし、表情も。いつものはこっちも見てて疲れちゃうよ。今みたいな方がいいな。」
千景『まだ子どもだと思ってたのに。意外に大人だったんだな』
「それは褒め言葉でいいんですか?」
千景『あぁ。じゃあ今度はめぐの昔話を聞かせてもらおうか』
「わたし?そんなに話すような人生は送ってこなかったよ」
千景『酒の肴に聞かせて』
「んんー、わかった」
グラスに残っていたスパークリングを飲み干し、新しくまたグラスに注ぎながらめぐがポツリポツリと話し始めた。
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