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満開桜

第24章 中庭 月岡紬のち兵頭九門 甘夢


紬『これを渡そうと思ってね。めぐにあげるよ』
「可愛い花だね、なんて名前?」
紬『スノーフレーク。』
「へぇ、鈴蘭に似てるね」
紬『うん、花言葉は“純粋、汚れなき心、皆を惹きつける魅力”』
「わたしとは正反対だ笑」
ギュッ
紬はめぐを抱き締める。
「紬?」
紬『めぐのこと、誰も拒絶なんてしないよ。スノーフレークはめぐ自身によく似てる。だから俺はこれを君にあげたいって思った。』
「わたしに?だって花言葉が全然似合わないよ?」
紬『そんなことない。誰が何と言ってもめぐに似合う花はこれだよ』
「ふふっ、紬がそこまで頑なになるの珍しいね」
紬『そうかな?』
向かい合って紬の足の間にめぐが座りお互いのおデコを合わせたまま話をする。花の名前、これから見頃になる花、しばらく話していた。
椋『うわぁ…2人とも漫画の主人公みたいだぁ…』
莇『何であの距離で平気なんだよ…』
幸『現実であれが出来るの紬ぐらいでしょ』
九門『…俺、着替えてくる』
幸『…?』
中から見られているとも知らずに2人の空間が出来上がっていた。
ーーーーーーー
バルコニー
ガチャ
幸『ここにいたの。』
九門『幸…』
幸『さっき様子が変だったから。なんかあったの』
九門『…俺…なんか変なんだ。めぐが誰かと一緒に、さっきみたいに仲良くしてるの見ると、こー、モヤモヤするんだ…』
幸『めぐのこと好きなんだ。キスでもした?』
椅子の上で体育座りをしている九門は耳まで真っ赤になりながら幸を見る。
幸『わっかりやす。』
九門『めぐには何でもないことなんだろうけど、なんか、俺どうしたらいんだろぉ…』
幸『めぐは誰とも付き合わないからね。でも誰とでも仲良くする。色んな意味でね。』
九門『他のみんなは何であんなに割り切れるんだろ…』
幸『…他のみんなも割り切れてないと思うよ。』
九門『え?どーゆーこと?』
幸『みんな、自分だけを見て欲しいと思ってる。けどそれを望めばめぐが苦しむのが目に見えてるから言わないし、それを感じさせない。そうしてでもめぐに側にいて欲しいんだよ。』
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