第11章 珪線石の足音

『ちゅ〜う〜や〜さんっ』

「はいはい、どうした」

『今日まだ噛んでな「噛めるわけ無ぇだろ病人だぞ」なんでよ、噛んで』

「ダメだ、せめて熱下がりきるまではダメ」

『じゃあ中也さんは来世の私と会う前に死んじゃっても平気なん「も〜〜〜それはずるいだろぉ？？俺はおまえがしんどいのは嫌なんだよ」しんどくないもん』

業務を終えて服を着替えさせつつ、駄々をこねられるので諦めてベッドに連れて行く。

「俺はいいけど、熱上がらねえの？」

『上がったら中也さんがもっと一緒にいてくれるんでしょう？』

「おまえな」

『別にリアは全身食べてもらっちゃってもいいんだけど』

「…………傷治すの、身体完治させてからにしてくれる？それならいいよ」

『……そう、なの？…………そっか、てっきり嫌なのかと思っ「おまえが俺に罪悪感抱かせねぇようにしてくれてんのは嬉しいけどな、身体壊してまでする事じゃねえから」い、嫌にならない？』

ならねえよ、とキスしたところで変化され、更に角度を変えて繰り返し、首筋に唾液を垂らして舐め、吸い付く。

『ｯん……ぁ、…………はぁ、あ……♡』

血を飲んで離れ、そこに口付けてから少しすると、顔色が心なしか悪くなる。

「悪い、吸いすぎたか」

『……？んーん、いつもこんな感じで……あ、ごめんなさい今素だから』

「…………いや、いいよ。少しゆっくりしてから行こうか……横になるか？」

『や、やだ中也さん「俺も一緒だから」ぁ、うん……』

このまま置いてったら追いかけられないよ、陸地ならこのまま離れられるよ、とは何度か言われたことがある。
弱ってると本当に寂しがり屋が悪化するのだが、このお嬢さんは本気でそう不安がってるからな。

「……ん？リア、おまえもしかして水辺なら最強だったりする？」

『へ……何いきなり』

「いや、興味本位。そもそも強ぇし頭切れるし、水辺で本領発揮出来んならおまえめちゃくちゃ強くなるんじゃないかと思って」

『ま、まあ一番戦いやすいのはそうだけど』

「それなら外出時はそういうルートを選ぶようにしようか、そうすりゃ不安要素がいくつかマシになるかもしれねえし」

『…………中也さんてほんと無理しますよね』

「してねえよ、何だその言い方は」

『い、や……なんか、ちょっとマシかも、しれないから』

……ん？？？

「えっ、マシ！！？」