第11章 珪線石の足音
「そわそわしてるねえリアちゃん?」
『だって中也さんが他の女と一緒にいるんだもん』
「あれをそう捉えるのか」
『やだぁ、中也さんにとどめ刺されるとかそんなのむしろ羨まし……?』
携帯が震えて見てみると、それは他の構成員の仕事だから安心しろ、と愛しの中也さんからのラブメッセージが飛んでくる。
『なにこれなにこれっ、中也さんもしかしてリアに盗聴器つけてったの!?可愛い〜♡♡』
「おまえもその辺の基準色々とやべぇよな」
『うん、リアのこと束縛してくれる優しい人だいすき』
「それ素直に捉えていいやつ?」
『えっと?』
「村上、踏み込みすぎ。なんかこう色々あるんでしょ……ねえリアちゃん?中也さんのどんなところが好きなの?」
『ぜんぶ』
全部……、と引いたように反応されたが、話は続けてくれるらしい。
「具体的には??」
『……自殺してたらね、中也さんが止めてきたの。いくらでもこき使ってやるからって……リアのこと必要だったんだって。優しいよねえ』
「自さ……ッ!?何だよその話」
『私ビルから飛び降りてたところを中也さんの異能で妨害されて、ポートマフィアに入ったのよ?』
「えええ、なんで自殺なんか」
『人間不信?』
「「もうほんと中也さんに幸せにしてもらって……」」
言われなくとも、とその人の声が聞こえて、変化する。
振り向いた途端に抱き上げてくれるので全力で甘えつくのだが、本当に香水の匂いもしないし選別の言葉すらくれてやってはいないらしい。
『中也さんまた遅かった!』
「悪いな、やっぱりリアがいた方が優秀なんだよ」
『かっこいいからなんでもいい……♡』
「そりゃどうも。飯何か作ってやろっか、何がいい?」
『……えと、…………な、何にしようかな』
照れるな、そんなに甘やかされると。
なんかむず痒いし、恥ずかしい。
「リアちゃんご飯作ってもらうの好きなんだねえ?」
『う、うん??他にそんな風にしてくれる人ほとんどいなかったし』
「中也さん、こいつなんでこんななんていうか不憫な感じなんです!?なんでこんななんか色々と恵まれてなさすぎるんすか!!?」
「そう思うだろ?な??だから俺は財布も置いていくし常時ストーキングされるのも甘んじて受け入れるし、いくらでも甘やかすし過保護にもなるわけだ」
「「俺らが間違ってました」」